何かを取り戻すまでの日記

生涯のうちにやりたいこと

だいたいぜんぶ展と乃木坂46のクリエイティブ

乃木坂46 だいたいぜんぶ展 の図録が届きました。

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図録

圧倒的なクオリティ、最高です。

だいたい全部展で語りたいこと

乃木坂46 だいたい全部展』の本展 にも、足繁く通っております。
展示替えの度にアクセスしているので、3回ほど。。。

展示のコンセプトとクオリティ

展示は、乃木坂46のクリエイティブのつながりのためのビデオから始まります。
乃木坂46は、兎にも角にも「ものづくり」に力を入れてきたグループです。 それがどういう資料・小道具を生み出してきたのか、普段は語られない、スタッフの側から「これ見てみて!」が多数盛り込まれています。

ビデオが終わったら展示ルームへ。
述べ96,000(!)点以上のもの作品の中から、貴重な書類や、製作の流れに沿った展示が行われます。

乃木坂46のロゴから、コンセプト制作、CDジャケット、絵コンテ、色味調整、フォント、ロゴ、衣装、ロケーション、小道具、設定資料。。。

乃木坂46がシングルを作る、というのはこれほどまでに壮大な作業であったのかが伝わってきます。
僕らが目にしていないボツ資料の数に圧倒されるのです。

「ぐるカーのジャケットこっちでもよかったじゃん!」とか、 「何度目の青空かは確かにこの作り方がいいんよな、本当に最高」とか、 「CD表面のデザイン、こうやって作られてるんや!とか、 「色味の調整ガチじゃね?(ドン引き)」とか、 なんにせよ細かな感想は大量に感じられます。

部屋を埋め尽くされているダンボールはただのスペース埋めに見えて、展示替えごとに箱が消えて新たな展示スペースが生まれる演出があります。 開梱されているみたいで超かっこいいです。

特に注目したいのは

  • ハルジオンのジャケット
  • 逃げ水の設定資料
  • 「私、起きる。」と「ガチャ子さん」の小道具
  • 伊藤万理華関連の個人PVの絵コンテ

あたりでしょうか。
シャキイズムの小道具も今回のために復刻されたそうですね

だいたい全部展を通して考える乃木坂のクリエイティブ

運営がクリエイティブ偏重であること

乃木坂46は、そもそもソニーミュージック秋元康に「なんかアイドル作ってくれん?」「おk」というやり取りでできたアイドルグループです。

そのために、レーベルとして、アーティストとして、CDを買う人やカルチャーを愛する人に受けるようなものづくりがなされています。

今野:乃木坂46を、アイドルでありつつアーティスティックにも見せていきたい、そのためには、サブカルチャーを扱うメディアや、アート系の人たちからいいねって言ってもらえるようになったら理想的だな、というふうに思っていました。レコード会社の人間にとって“いろは”みたいな作業だと思うのですが、そういった部分は大切になってくるんです。
「だいたいぜんぶ展」で表現したかったこと【特集第2回】より)

今野さんのこの言葉の通り、乃木坂46はたくさんのクリエイターを巻き込んで成長し、
またMdNや装苑など、クリエイター、ファッション系の雑誌と絡みながら成長していきました。

クリエイティブとアイドル性の配分

とはいえ、AKBの制服、歌衣装の写真集のように、 アイドルのクリエイティブ部分に光が当たることはおかしなことではないです。

そりゃあ歌って踊る女の子たちなので、誰かが曲を作り、衣装を作り。。。やっている。
その中で乃木坂がクリエイティブで展覧会を開いてヒットさせるまで注目されているのには、 乃木坂46のクリエイティブが注目されるようになるための仕込み、クリエイティブに力をいれてきた歴史があります。

ただ作るだけで無い、細部に渡るこだわりが、彼女らがアイドルである異常に「乃木坂46」というアーティストでなければならないようなプレッシャーの歴史がありました。

今野:“作品トータルの世界観を完成させるために、「このカットではあなたは後ろ姿しか映らないけれども、この場面の絵作りとしてそれでいいんだ」 とメンバーに対して時には遠慮なく言えるかどうかですよね。それはもう本当に、心を鬼にしなければならない厳しい作業ですけれども。”(「MdN」2016年12月号)
総合的な表現の場としてのアイドル――「乃木坂46 Artworks だいたいぜんぶ展」|香月孝史|noteより)

この発言、この下の本信光理/伊藤万理華対談であげられている、何度目の青空か のことだと思います。

伊藤万理華 ×『MdN』 元編集長 ・本信光理 「乃木坂46 Artworks だいたいぜんぶ展」のクリエーションを語る! | 朝日新聞デジタル&M(アンド・エム)

伊藤:(前略)例えば『何度目の青空か?』。あの頃はまだ自分は10代でしたけど、「合唱の練習風景」というコンセプトの説明を受けた時にちゃんと解釈できましたし、ただの撮影ではなく、ストーリーの中に入って曲と一緒になる感覚がありました。

他にも、夕暮れを楽しむメンバーが、日が沈むにつれて落ち着いた、心の深淵に迫るような眼差しに変わっていく、命は美しいも印象的です。

ただ作るのではなく、アイドルそのものでなく、アイドルのクリエイティブの中に物語が隠されています。
シングルのたびにそれを掘り起こすのです。

クリエィティブを愛するメンバー

白石麻衣伊藤万理華齋藤飛鳥寺田蘭世中村麗乃、卒業した西野七瀬川後陽菜など、ファッション業界に興味を持つメンバーは結構居ます。

メンバーの情報や発信の中には当たり前のように好みの映画監督や写真家、スタイリストさんの名前が登場し、
フォローしたクリエイターの仕事場にメンバーが現れることもしばしば。

クリエイティブを通して受け継がれるもの

管:一番印象的だったのは、メンバーが「行きたい」って言ってくれたことですね。三期生は一期生二期生が作ってきた7年近い歴史を、もっと言えば乃木坂46のロゴが決まったヒストリーも知らないんですよね。だから、ミュージアムに来て、食い入るように見た後に、「先輩たちが築いてきてくれたものを私たちも受け継げるように頑張ろうって思った」と言葉にして発してくれた時は、ビジネスの成功とは違う軸で、やってよかったなって思いました。

のべ96,000点の資料は、ただ振り返るだけ、語るだけではありません。 パフォーマンスでもなく現場やふれあいでもなく、クリエイティブにだけある最大のメリットは、圧倒的な証拠、軌跡として、先輩たちのアイドル性がどのように作られたのかを如実に表す資料になります。

乃木坂のクリエイティブを楽しむこと

正直、クリエイティブを楽しめるのが一番息が長いと思うんですよ
いつまでも反芻できるし。

握手会もガチ恋も最初から終わりが見えてる、
メンバー同士の絡みや個々のキャラクターを推してもいずれはDDになって卒業ラッシュに精神がやられる、 パフォーマンスはライブの撮影クオリティにかかってきている、
ダンスも歌も、今の”ビジュアル推し”で撮影とテレビに引っ張りだこのメンバーにはクオリティ確保が難しくなります。

衣装や曲、写真、そして願わくば個人PV...で、
永遠の「制服のマネキン」である彼女らが一番美しくあってくれるのが一番うれしいです。

ただただ8年の研鑽を経て花開きつつある、「写真集のヒット」とか、「顔面偏差値が高い」とかでは到底表しきれない乃木坂の魅力が、

今もクリエイティブには地層の如く積み重ねられているように感じられます。

乃木坂工事中の「勝手に演技力研修」回は本当に面白かった、
伊藤衆人監督も湯浅監督も頃安監督も山岸監督もいつも最高で、
SEISHIROさん、MURRALさん、市ノ沢さんを始めとした衣装、ダンサー陣もいつも本当にかっこいい。

彼らの仕事ぶりこそが乃木坂46の”細部”・”神々しさ”を感じられる部分であり、
そしてそのアクションはメンバーに集約していると常々感じています。

(随想)いつまで乃木坂をフォローし続けられるだろう

可愛くワイワイ絡んでいる乃木坂46は、なんというか本当に眼福で、 いつまでも見ていられます。

例えばバナナマンや、装苑や、ミュージカルから乃木坂46を知ったとしても、
彼女らのいわゆるアイドル的可愛さには一度はやられるでしょう。

ついつい目がいってしまう美人さんや、目が話せなくなる言動、発言、振る舞いをする人が出てきて、
いつしかその女の子を推しと呼ぶようになり、 そんな女の子のしごとぶりが自分の頭の中の栞になることも出てきました、 そこで引き込まれないこと、常に目を覚まし続けることはドルオタとして闇堕ちしないためのトレーニングになります。

あの衣装、あの子に来てほしいなあ、あの子の髪の色がこれぐらいなら、あの子のあの髪型が。。。とか、 あの監督のああいう演出は次はあの子でやってほしいなあ、 ガチャ子さん、駄菓子屋れんたんの系譜とか、「ちょこれーの」「こねらっぷ」の系譜とか、

もしかしたらまりかっとチームの別のアプローチがあり得るのか、 でもまりかっとチーム(まりっか'17のチーム)はホント強いよなあ

そんなふうにいつまでも彼女たちの彩りを見ていられます。
さながら蝶の鱗粉のように、いつも色彩を変えて、星のように舞う、
そんな姿と、そんな彼女たちにインスピレーションを与えられるような関係が、 続きますように、と思います。

クリエイティブはアイドルシーンの大黒柱では無いけれども。
だれがセンターとか、誰がかわいいとかセクシーとかじゃなくて、

乃木坂46の名のもとに生み出す写真、映像、が、これからも心惹かれる、素晴らしいものでありますように。

そう願う日々です。