何かを取り戻すまでの日記

生涯のうちにやりたいこと

NGT48問題とアイドルのマネジメント

実はちょっとだけNGT問題を追っていた。

 別にアイドルに詳しいわけではない一介の乃木ヲタなのですが、香月貴史さんの『「アイドル」の読み方』ぐらいは読んで、まあ何年かアイドル推しをやっている(気づいたら3年目)ので、やっぱ気になるわけですよ。

 アイドル好き、アイドル嫌い以外にも、スキャンダルに興味がある人、芸能界に興味がある人、ワイドショーを見ているおばさん、、、などなど、普段よりもずっと沢山の人数を巻き込んだのが今回のNGTのスキャンダルでした。

 今回の公に登場して発言した登場人物を少しだけ纏めます。

 第三者報告書とか、詳しく読み切っては居ないのですが…

登場人物 解説
山口真帆さん 被害者であり、令和時代のシンデレラストーリー?の一歩目を踏み出した、青森出身のアイドル志望の女の子、シナモロールが好き。
2018年末にファンと思しき男子大学生に帰宅直前で襲われ、警察に通報(不起訴)。その前からファンの行き過ぎた行動やメンバーの素行不良を運営に相談していたが、何も動かないのでSHOWROOMで暴露。
SNSのフォローやフォロー外しで、メンバーの関与や関係性を暗に示したり、自分は発言せずに他人の発言のファボで意見を言ったり、SNSで会見にリアルタイム反論したり、SNSニンジャというか、上手。
6月頭で研音に移籍。
今村悦朗 NGT48の運営責任者。
厄介ヲタを「悪さしててもアイツらかわいいんだよ」とかいったり(非公式)、山口真帆とのSHOWROOM山口真帆は辛く当たったほうが伸びる的な発言をしたり、けっこう怖いもの知らず感有る。
NGT48騒動でAKSに異動したが、後に更迭。
NGT48メンバー 山口真帆以外のメンバー。今メディアの仕事はほぼ中井りかのみ。
山口真帆がフォローしていなかったメンバーが基本的にはクロと言われているが、人によってどこまでクロかはみんな違うので推測の域。
NGT48側は事件自体にメンバーの関与は一切無かったという姿勢は崩していない。
一方でファンからの荻野由佳や他のメンバーへの暴言が問題視されたり、
メンバー内でも捏造が加藤美南のインスタ誤爆があったり、山口真帆に言及するメンバーと全く居ない前提で話すメンバーが居たり、一枚岩ではない感じはやっぱり有る。
アイドルハンター(的な人たち) 複数人いる。もちろん公式側からはAとかBとかでしか言われていないので、訴訟でも無い限り同定はできない。
繋がっている発言や、メンバーのSHOWROOMでの誤爆、過去のインスタ誤爆、写真での服装の一致、総選挙での一斉投票などから、つながりが疑われている。山口真帆を襲った人物も関係図的にはここっぽい。

これ一体何だったの

 (運営曰く)個人のセキュリティが担保しづらい、新潟という地で、ガバガバ運営の中で10代、20代のメンバーがワチャワチャやった結果生まれたカオスってことなんだと思うんすよね。

 メンバーとファンが繋がっていたかについて、第三者委員会(全部AKB関係者)の発表では、「あいさつ以上」のプライベートのつながりをもっていたメンバーが12人いたが、事件への関与はないとのことでした。後任責任者の早川真依子さんも

報告書に出ている、具体的に名前が挙がった12人ですが、 ○○がつながっていると人から聞いた。 ○○っぽい子が男の人といるのを見た。 ○○はつながっていると思う。 ○○が人目を避けるように歩いていた。 という曖昧な話ばかり。 処分しようにも全く証拠がありません。

とのことで、つながりがどのレベルでどれくらい合ったのかは藪の中です。

もう一つの争点

 もう一つのでけえ争点は、初期の報道であった「襲った男はメンバーの部屋から出てきた」ということです。

 もしそうならまあ一発アウトですが、公式の発表は「メンバーは既に引き払っており、その後はウィークリーマンションとして売りに出ていたことしか知らない」ということです。

 出てきた部屋は向かいだったので、まあ色々疑問が残ります。「向かいのメンバーが居なくなったことが気づかないことある?」とか、「管理がバラバラな理由はどうして?」とか「ファンが住んだらどうすんの?」とか。

 初期の運営の発言には、「メンバーが帰ってくる時間や部屋番号を教えてしまった」とありますが、コレもどっかいっちゃってます。

 まあそういう要因が積み重なって、「メンバーと繋がっているファンが山口真帆を襲った(迫った)」という最悪の事態がずっと抜けないわけです。運営からしたら、否定しようにも噂を消すだけの材料がなく、一つでも認めればなし崩しに全部認めちゃうので、「それ否定する?」ってとこまで否定せざるを得ないという状況になっているイメージです。

 その他でネットに上がっているのは、まあ新潟県へのクレームとか、メンバー叩き(もちろん山口真帆もクッソ叩かれてる)とか、過去の悪行晒しとかで、印象は変わりますが状況は変わらないような喧騒のようです。

悪いのは運営だけでいい

 メンバーの暴走や素行不良(風紀の乱れ的な)があったとしても、仕事しているとはいえ未成年のやらかしで、突然テレビに出ることができて、憧れのアイドルに慣れている若い人なんだから、調子に乗るのもしょうがないと思うんです。クロもシロも、正確の良し悪しとかも関係なく。ファンを騙すのは悪いことですが、ファンのアイドルへの懸け方とか金銭感覚を問うのは難しいことですし、まあ失敗してもいいじゃないの、またチャンスがあっても。。と思います。

 まあ握手や総選挙で「人気がファン次第」部分が超でかいのがAKBグループです。(坂道には握手会しかない)。でもアイドル志望の女の子はファンとの触れ合いじゃなくて、歌とダンスと可愛い服のために来ているとしたら、理想と現実のギャップも有るんじゃね?というのが正直なところです。

 そういう若人が抱えた理想と現実のギャップと、推されなければ売れないという厳しい現実のはざまでナントカやりくりをして、客に満足してもらうグループを作るのがアイドル運営です。あーつら。やりたくない。

 そういう意味でまあ仕事が一番できていない、やらかし倒してにっちもさっちも行かなくなったのが今のNGT運営です。事実の認定も否定も出来ず、契約金もとれずに鎮火を待っています。

 ここで気になるのは「クロメン探し出して追放して新生NGTにしねえの?」ってことですが、さっきの早川麻依子さんの「つながりわかんねー」のツイートから見るに、運営とメンバーの絆よりもメンバー同士の結束のほうが硬い印象があります。普通なら、アイドル本人は運営の社員または運営と個々に契約している個人事業主なので、メンバー同士は「同期」ではなく「同業者」のはずなんですが、そこらへんの不協和音があるのでしょうか(知りません)。

 それに、この炎上の状況の中でメンバーを解雇して「一人で生きろ」とするのはあまりに酷でしょう。20前後の女の子を燃えさせて追放するとか地獄すぎる。別の燃え方をします。メンバーを匿っているのは正しい運営の姿だと思います。

秋元康は知らん

 もちろん、ネットたたきの喧騒には「秋元康が」という人間は一定数居ます。まあ秋元康の金の稼ぎ方が純粋じゃない、キャバクラまがいのことをして売った金でレコ大や紅白に出て、アーティストの顔させるのが仕事なのか的な、アイドル嫌いの人も居ます。

 「NGT解散」とか「秋元アイドル全員吹っ飛べ」みたいな、何人路頭に迷うんだよ…みたいな状況をこの炎上のゴールに見据えてる人も居ます(冗談のひとも、本気の人も居るでしょうが。)

 秋元康は、初期こそ運営に舵取りにやっていましたが、今や屋号と化している歌詞書きおじさんです。実際そうなんですが、「製造責任」「運営の犬、そうでなければ吉田豪の犬」というおもしろレッテルを頂戴しそうなので、私は個人的に秋元康は関係ない、と思っているだけの乃木ヲタということにしておいて下さい。


 秋元康は企画書を書いて、企画書のもとに上がってきた曲、衣装、宣伝計画なんかをみてメンバーを決めつつ歌詞を書きつつ、コンセプトを決めるおっちゃんで、ほぼそれに終始していると思っています。制作する度に組むチームのトップが秋元康なわけです。

 象徴的な事件が、欅坂46ナチス風の服装をして炎上したときに、秋元康が速攻で「チェック体制が甘かった。私のところに来ていたら絶対弾いていた。申し訳ない」という趣旨の謝罪文を出していたことです。アーティストとしてのトンマナには非常に敏感で、責任がある箇所なら発言するおっさんです、あの人は。

 そういうところでは秋元康の名前はトップに出てきます。でも、例えばグループのドキュメンタリーとかには、秋元康の名前はとんと出てきません。まあでも、全部一緒くたに「秋元界隈」とみられるのは分かります。劇団4ドル50セントとかコインロッカーズは知りませんが。

 例えば乃木坂46西野七瀬を軸に、「儚くて清楚」なグループにしたのも秋元康ですし、乃木坂46初期を、生駒里奈を筆頭に「元気でオシャレな制服のマネキン」にしたのも秋元康です。欅坂に「オトナを信用するな」と叫ばせたり、「ヘビーローテション」のコンセプトを作ったのも秋元康です。「製作総指揮 秋元康」のテロップが有る限りは。

 なので、メンバーのつながりがどうとか、あの子は実家であの子は地方だから、マンション借りて…とか、あの子は舞台志望だからこの人にキャスト頼んで…みたいな話を秋元康がしている気がしません。してたら面白いwそういうのは秋元康に「アイドル作るんで名前貸してください」と頼んだ側の仕事じゃないですかね。

公私共にアイドルを渡って管理すること

NGTの問題を語りながら、私の言いたいことはほとんど言ってしまった感がありますが、

 仕事をしたことがなく、バイトも人による、果ては勉強も人による集団を、お金儲け出来る集団に変えるのが運営のしごとです。実際、メンバーは運営の仕事相手であり、メンバーもメンバーの仕事相手です。だけどそれはドルオタには見えてはいけないことでもあると思っています。そこに「夢」ってのが有るとしたら、それはそれで切ない話だと思うんですが。

 メンバーが上手くメディア上でパフォーマンスし、世間の耳目が集まってる中でも個性を失わないように、生活や仕事の助けをするのがマネジメントだと思っています。

 今回のNGT問題では、メンバーと運営の信用の破綻、メンバー同士が必要以上に友達的に(ガチの女子校並なのかな?)つながり過ぎて、派閥や啀み合いがキツすぎたことがすべての元凶ではないかと考えています。

 だからNGTにメディア露出の契約がなくなるのも賛成です。NGTは、運営含めて、アイドルとしてメディアの出るべきではない。

 逆に露出しまくっている中井りかが心配です。稼げているのは中井りかだけなんでしょうが、別に彼女が居なくてもAKSからのお金でメンバーもマネージャーも食っていけるとすれば、みんなで新潟から再スタート出来るとも思います。

乃木坂はどうなんだろな

 乃木坂は楽屋でも本当に仲が良く見えます。いやホントに。でも本当のところは、彼女らのつながりはただの仕事仲間で、ばったり出会った友達ではないのです。でもそれが信じられないくらい、彼女らは仲が良いのです。それを仕事上手と呼べない、呼びたくないのですが。

 もちろん普通のクラスのように、話さない組み合わせもあり、誰とも話す人、特定の人としか話さない人もありますが、彼女らにもいつ切れるかわからないほど細く、簡単には切れないように見えるほど強靭な絆があります。

アイドルの真の儚さ

 たまにメンバーが「 ホントの友達みたいだよね、いや友達なんだけど 」と発言することがあります。メンバー内は仕事仲間という前提が共有できているのは健全なことのようにも思われます。彼女らの虚構と現実、公と私が微妙に切り替わっているのが垣間見える瞬間です。乃木坂46が笑顔のたえない、きれいで、女性のアイコンとしての意識が高いグループになっていつつも、仲が良いグループになっているのは、その公私の微妙なブレンドが今のところ非常に上手にいっていることを示しています。

 秘伝のタレには継ぎ足しが行われ。大事な具材もどんどん取り出されていきます。味も変わるでしょう。そのときに残る「熟成」と「個性」がアイドルという文化に変わっていきます。乃木坂はあと何年煮込むんでしょうか。

 NGTのタレが出来るのはしばらく先でしょうが、煮込む気は有るようです。あとは静観で良いんじゃないでしょうか。

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