何かを取り戻すまでの日記

生涯のうちにやりたいこと

【ネタバレ注意】『Documentary of Nogizaka46 いつのまにか、ここにいる』感想

二回見ました。

 なぜかというと、桜井玲香さんの卒業があったからです。もしかしたら違う印象を抱くかもしれない、よく見れる点があるかもしれない。と思い、卒業発表前に1回、卒業発表後に1回見に行きました。

 結果的にあまり変わりませんでしたが、それでも2回見る意義はありました。3回見れば、更に細かく見られるかもしれません。めっちゃ行きたいですが、流石に海獣の子供を先に見ないと行けない気がしています。

メモ代わりに感想をぶん投げます。

始まりは2018年のレコード大賞

 乃木坂にとってレコード大賞はこんなにも重いのかと改めて驚かされる演出が多々ありました。 レコード大賞の密着は木坂のレコ大前の特別な円陣「力を伝播させる円陣」が見られる唯一の場所です。

 レコード大賞は歴史が古く、今や形骸化しているCDの売上とはいえ、アイドルのしごとの一つである、[CDと握手]という大きな軸を成立させるために、そしてリリースから紡ぎあげた歌唱とダンスの一番大きな発表会がレコード大賞なんでしょう。

齋藤飛鳥と監督の関係の変化

 映画は齋藤飛鳥で始まり、齋藤飛鳥で終わります。

 パンフレットで乃木坂のスタッフからも圧倒的な支持を得ている岩下力監督の手法として、決してメンバーに無理強いをしないというのが挙げられています。齋藤飛鳥は確かに重要なメンバーですが、重要だから引っ張るというやり方をしていません。

 岩下監督は、普通に齋藤飛鳥に接して、なんとか打ち解ける事ができました。ピリついた場面もけっこうありました。ですが、そうでなくても、監督は拾えたピースからしかこのドキュメンタリーを作らなかったでしょう。

 監督は結果として齋藤飛鳥と「一番フランクに話せるように」なり、乃木坂のエースと呼ばれる彼女が掴んだ微かな光がドキュメンタリーの明るい締めくくりとなりました。

 それが最終章の齋藤飛鳥の言葉「嘘かもしれない」に現れています。慎重に言葉を選んで、前向きな言葉ではめったに自分を定義しない齋藤飛鳥が結んだ精一杯の前向きな言葉であり、乃木坂で最も言葉が重い彼女の心の軽さを引き出したのは素晴らしいと思いました。

 同窓会や旅行に監督の帯同を許して、Seishiroさんや大園桃子さん、そして同窓会の面々、家族とのかすかな接触共鳴の場面をつかみ、彼女が自分の人生の輪郭を確かにして、彼女自身がアイドルという職業に少しでも温もりを持って接せられる、そんな小さくて大きな愛の物語が齋藤飛鳥さんにありました。

 シンクロニシティ、レコ大パフォーマンス後の大園桃子さんが、「乃木坂も。。。。かもしれない」と言ったあとの齋藤飛鳥さんの振る舞いは涙なしには見られませんでした。過去に居場所のない毎日を選択していた齋藤飛鳥さんにとって、あの言葉がどれほどの救いになったでしょうか。

大園桃子という人

 今回のドキュメンタリーで一番私達に届く、心からの言葉を届けてくれたのが大園桃子さんです。「アイドルとしてではなく、素の自分としてしかいられない。だからキャラややり方を否定されたら、自分が全否定されたようになる。」「分かれることが辛いって気持ちなんか隠さなくていい」1/256回転もひねらない、ドストレートの言葉を紡ぐ大園さんの物言い自体が、彼女が飾らずに生きていることを語っています。

「ありのままの姿でぶつかっていけば、ズタズタに傷つく」

 アイドルとして幸せな時間、嬉しい時間もある、と彼女は付け加えましたが、まず傷が先にくること抜きに大園桃子という人はかたれません。

 そんな彼女がシンクロニシティ、レコ大パフォーマンス後に「乃木坂も悪くないかもしれない」と言ったから、彼女は愛おしいのです。嫌なことも楽しいこともごっちゃ混ぜで何もかもさらけ出してグッチャグチャの彼女が紡ぎ出す温かい言葉がそこにあるのです。傲慢だという人はわかっていない。

大薗さんが大好きになりました。ライブ休んで誰が文句を言うでしょうか。

監督の圧倒的オーバーラップ力

 レコード大賞の密着は木坂のレコ大前の特別な円陣「力を伝播させる円陣」が見られる唯一の場所です。

 2つのレコード大賞の「円陣」を通じて、岩下監督は乃木坂とドキュメンタリーへのきっかけを掴みます。2年連続のレコード大賞は偶然とも必然とも言える、乃木坂にとって圧倒的に大きな結果となりました。

 1つ目のインフルエンサーのレコ大監督では、監督は「なんて仲がいいグループなんだ」「乃木坂で歩んだ時間は一体どういうものなんだ」という興味を持ちます。

 そして、2つ目のシンクロニシティの円陣。監督は「乃木坂の看板を背負った彼女たちの共鳴が多くの人を引き寄せ、何かを生み出している」ことを描き出します。

 二つ目の円陣は涙なしには見れません。自分の人生を想像して、彼女ら一人ひとりの中にある愛情が美しいダンスとなって形作られるように、Seishiroさんは言葉を紡ぎます。そして最後の円陣。Seishiroさんの「みんなのことが大好きです」という言葉。パフォーマンス前に、彼女たちの感情はピークに達します。大切な人、メンバー、家族、関わってきたすべての人への、喜怒哀楽どれでもない、愛情としか言えない気持ちが溢れ出します。書きながら涙が出てきました。レコード大賞がどんな陳腐な賞と言われようが、彼女らがこれ以上無い慈愛の気持ちで臨んだことに変わりはありません。

 そして何より、レコ大シンクロニシティ本番前の舞台袖。西野七瀬秋元真夏の和解のシーンが流れます。これはヲタにぶっ刺さる。マジでニクい。

 受賞後。インフルエンサーレコード大賞シンクロニシティレコード大賞の記念写真の撮影シーンが、全く同じ場所で交互に切り替えて映し出されます。乃木坂という旋律はまだ響いています。

2つの挿入曲、『シンクロニシティ』と『帰り道は遠回りしたくなる』

 この物語の「泣かせ」の山は2つあります。俺はもっとありましたが。

 俺が岩下監督なら、「二度目のレコード大賞」そして「西野七瀬卒業コンサート」が2つのポイントです。2つの山は日付的には近いので、前後に文脈や伏線をつなげながら、じわじわと構成されていき、一撃二撃とファンにダメージ(笑)を与えていきます。

 面白いのが曲の当て方です。レコード大賞は「シンクロニシティ」、卒業コンサートは「帰り道は遠回りしたくなる」がリードというか、それぞれのイベントを構成する曲になっています。ですが、このドキュメンタリーは、レコ大で「帰り道」、卒コンで「シンクロニシティ」を流します。逆なんです。

 一つは構成上の問題です。「彼女たちの共鳴が生む力」こそが岩下監督の乃木坂観であり、その最大の特徴がシンクロニシティなのです。それに、レコ大→紅白→西野七瀬卒業まで、西野七瀬というひとはアイドルから次のステージに向けて最高速で駆け上がります。レコ大ゲットから[西野七瀬 活動終了]までの帰り道は急転直下で描かれます。

西野七瀬というアイドル

 西野七瀬というアイドルは未だに謎です。スタイルが上手でファッションセンスも良くて、ダンスと歌は結構上手で、バラエティにガツガツもしてない。白石麻衣の端正な顔つき、齋藤飛鳥の顔の小ささみたいなパット見でわかる武器もない。性格も普通で、友達も多いタイプじゃない、ゲームと絵の好きな女の子。なのに、乃木坂の中で圧倒的にファンが多い。もうバチボコに多い。一時期はファンがゴンゴンガチ恋に落ちるので、ガチ恋生産マシーンと呼ばれていました。

 西野七瀬には履歴書には絶対に書けない、そしてアイドルにならなければ輝かかなかった、まだ日本語にはない魅力があります。よくファンの間では「彼女感」と言われますが、おれはこんな陳腐な言葉では納得しない。

何もしていなければ月下美人の花のようにか弱く映り、 演じれば儚さがとどまることを知らず、 歩けば軽やか、走ればそよ風のよう、 笑えば太陽の用に弾けて、 踊れば一気に鬼気迫る迫力がある。

 メンバーみんなが、か弱い、でもかっこいいと思い出しながら涙するシーンが何度もあります。

 彼女自身も少しずつ岩下監督と仲良くなって、物づくり、ドラマや映画製作の現場が好きで、アイドルとの両立に限界があることを、かろうじて聞き出すことが出来ました。乃木中のセットを「母校みたい」と表現した瞬間、大好きです。

まだ、西野七瀬のことを語るのは早い気がするのです。

西野七瀬与田祐希

 この二人の関係は、始まったと思ったら終わってしまいました。乃木坂では鉄板中の鉄板ペアで、上海ライブのリハで抱き合うシーンはもう温もりしか目から溢れないシーンであるのに、彼女らが交わす言葉はいつまでもシンプルです。

 与田さんも後輩が出来たり、重圧や不遇に悩む瞬間がこれから来るかもしれません、なぜか、これからに期待してしまいます。

4期生の描かれ方

 4期生の成長は、早川聖来という大天使のおかげで綺麗に描かれていました。もっと監督自身も掘りたかったかもしれませんが、早川さんがあまりにも綺麗に落ちていた。

 衛藤美彩さんが4期のことを期にかけ、BirthdayLiveで賀喜さんの手を引いていた画は本当にほっこりしました。ずっとまえから、後輩にとにかく気をかけるひとでした。去り際まで本当にスマートだった。

制服のマネキンのオーバーラップ

 乃木坂の上海ライブと、4期生お見立て回では、まるで同時並行の用に制服のマネキンが交互に切り替えられつつ流れます。生駒卒コンに参加した影響で、制服のマネキンが流れるたびに泣いてしまう体質になった私としては、これ以上無いぐらいにエモい描写です。

 彼女らも、先輩方以上に、坂道を全力で上がらなければ行けないメンバーなのです。

 生駒里奈さんも登場してくれて、嬉しかったなあ。

秋元真夏というアイドル

 西野七瀬との確執の氷解がもうエモエモに描かれている秋元真夏ですが、彼女がこの映画で一番つらそうでした。もうずっと泣いてる、

 彼女にとって、アイドルとしてやっていくことは天職で、おばさんになるまでアイドルをやっていたい、とたまにインタビューで発言しています。

 それが何よりも厳しいイバラの道であるのは、家族よりたくさんの時間を過ごした1期生を全員見送らなきゃいけないという点にあるでしょう。

アイドルの卒業

 秋元真夏高山一実前後のインタビューで「なんでアイドルは卒業するんでしょうね」という言葉が投げかけられます。

 西野七瀬はアイドル人生を「これ以上無い、最高に輝いている青春の時間」と表現していました。その自分と、乃木坂でない自分が綺麗に別れているとも。

なぜ全員が乃木坂を巣立つ必要があるのか、そもそも巣立たないということが今後ありえるのか、「障害アイドル宣言」みたいな?答えは映画の中では描かれていません。

生田絵梨花というアイドル

 卒業がいつでもできそうで、外仕事で圧倒的な輝きを見せている生田絵梨花。最後の山であるBirthday Live直前に、彼女の超過密スケジュールの一端が見られます。  そして、「乃木坂にもミュージカルにも、両方に迷惑をかけてしまっている」という、重すぎる自省の一言が出てきます。

 [大きな夢は、極限を要求する。]というテロップも重すぎます。

 彼女自身の「スケジュールをこなすことに精一杯で、自分が前進出来ているか自覚がない」という一言も重すぎます。もう見てられない

 なぜ彼女は走りつづけるのでしょうか。彼女はある理由を口にします。

 秋元真夏が「いくちゃんが卒業しちゃったらどうしよう」という言葉に、彼女は一言だけ言葉を返します。

 関係者スタッフ全員が「鉄人」という賛辞を送るほど、生田絵梨花の才能の根幹は才能自体よりも、才能を全開のまま全速力で走り続けることが出来る圧倒的な馬力にあります。そんな彼女が発する言葉はあまりにもシンプルで、彼女以外には言うことが出来ないぐらいに重いです。

 彼女の無限とも言える努力の姿を、僕は心の底から美しいと想いますが、心の底の裏には、少しだけ心配があります。今の時間を無駄に出来ないと思うのは、彼女の1秒も見落とせない、と本気で思うからです。全力で好きている人があんなに美しいんです。追いすがらざるを得ません。

乃木坂46という渦

 彼女ら個々には悩みがあり、人としての思いがあります、たくさん書きました。たくさんドキュメンタリーで描かれました。

 でも、そんなあれこれも、彼女らが集まり、乃木坂46として衣裳をまとえば、まるで苦悩など無かったかのように、彼女らは幸せそうです。

「なんでこんなに仲がいいのかわからない」「友達以上、家族に近い」とメンバーも口にします。


「乃木坂には不思議な力がある」と西野七瀬さんは言い残しました。

一人ひとりが願っても届かない場所でも、集まって乃木坂になれば手が届く、と。

www.youtube.com

きっと
誰だって 誰だって あるだろう
ふいに気づいたら 泣いてること
理由なんて何も思い当たらずに
涙が溢れる
それは
そばにいる そばにいる誰かのせい
言葉を交わしていなくても
心が勝手に共鳴するんだ
愛を分けあって ハモれ by https://www.uta-net.com/song/247989/

乃木坂が人を巻き込む理由なんてなんとでも言えます。

写真集が売れてるから?顔面偏差値が高いから?下積みがあるから?


乃木坂を愛した人だけがわかることがあります。

乃木坂にはセンターはいません、この人こそが乃木坂、と言う人が居なくても、乃木坂は乃木坂になることができます。

乃木坂のメンバーは、お互いに見を寄せ合い、刺激しあいながら加速していきます。

彼女らをつなぐのは、乃木坂のためにどこまでも強くなれる糸、そして乃木坂に関わるすべての人が羽ばたけるぐらいに細い糸です。

糸の名前を「愛」といいます。

レ・ミゼラブルを見た人にしか分からないかもしれません、ドキュメンタリーを見た人にしかわからないかもしれません。

ファンもメンバーも、乃木坂の名前の元集まるだけで、この名前は無類の強い力を発揮します。

4期生も入って、乃木坂はもっと面白くなります。そして乃木坂という渦はこれからも回り続けるでしょう。

齋藤飛鳥の水平線を見据える姿をみて、僕はそう信じられるようになりました。

やっぱ乃木坂だな!!!!!!!

http://husigiyt.hatenablog.com/entry/talk_about_nogizakapv_quizknockhusigiyt.hatenablog.com

http://husigiyt.hatenablog.com/entry/repo_about_nogizaka_nisinolivehusigiyt.hatenablog.com

husigiyt.hatenablog.com